介護業界関連コラム
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介護テクノロジー導入の前に知っておくべきこと ~其の2~
アクセスポイントは“施設の心臓”!!:インフラの質がすべてを決める
介護施設でテクノロジー機器を導入する際、最も軽視されがちな設備が「Wi-Fiアクセスポイント(AP)」です。しかし、実際にはAPの選定と配置こそが、テクノロジー導入の成否を左右する“心臓部”となります。
センサーマット、インカム、タブレット記録など、これらはすべて「Wi-Fiが安定していること」を前提に動きます。つまり、APが不安定であれば、どれだけ高性能な機器を導入しても本来の力を発揮できません。
本コラムでは、介護事業者が必ず押さえておくべきAPの重要性と、家庭用との決定的な違いを解説します。
1.アクセスポイント(AP)は“通信の玄関口”である
Wi-Fiは「電波」で通信していますが、その電波を発信する装置がアクセスポイントです。
APは、施設内のすべての機器──タブレット、センサー、インカム、PC──が最初に接続する“玄関口”です。
この玄関口が弱いと、次のようなトラブルが頻発します。
・センサーマットの通知が遅れる
・インカムが途切れる
・記録アプリが同期しない
・動画が止まる
・テクノロジー機器トラブルにより職員のストレスが増える
つまり、APの質=介護DXの質と言っても過言ではありません。
2.家庭用APと業務用APは「軽自動車」と「ワンボックスカー」ほど違う
介護施設では、家庭用Wi-Fiをそのまま使っているケースが少なくありません。
しかし、家庭用と業務用のAPは、構造も性能もまったく別物です。
● 家庭用AP
・同時接続台数が少ない(10〜20台程度)
・電波が不安定になりやすい
・長時間稼働に向かない
・VLAN分離などの高度な機能がない
● 業務用AP
・同時接続台数が圧倒的に多い
・高負荷でも安定
・故障しにくい設計
・業務用、センサー用、利用者用Wi-Fiを分離できる(VLAN)
介護施設では、
・職員のタブレット
・インカム
・見守りセンサー
・利用者のスマホやタブレット
・医師のオンライン診療 など、多数の機器が同時に接続します。
家庭用APは、乗用人数が少ない軽自動車であるため、多数の機器を接続すれば、接続台数の限界をすぐに超えてしまい、通信がパンクするのです。
介護施設では、多数の機器を安定して支えるための業務用AP(ワンボックスカー) が必須になります。
3.APの配置は「電波」と「配線」の両方で決まる
APは「電波が届く場所」に置けば良いと思われがちですが、実際はもっと複雑です。
● 電波の届き方
RC造(鉄筋コンクリート)は電波が通りにくい
木造は電波が通りやすい
間仕切りの材質で減衰が変わる
部屋の形状で電波の広がり方が変わる
● 配線ルート
天井裏に配管がない
エアコンや梁が邪魔で設置できない
LANケーブルが通らない
電源が確保できない
そのため、APの配置は
机上設計 → 現地調査 → 配線確認 → 再調整
というプロセスを経て決定されます。
「とりあえずこの部屋だけ」という小規模導入は、後から必ず位置の最適化が必要になり、再工事が発生します。
4.APは“分離”できるからこそ価値がある
業務用APの最大の価値は、ネットワークを分離できる(VLAN)ことです。
- 業務用(記録・PC)
- センサー用(見守り・インカム)
- 利用者用(Free Wi-Fi)
これらを同じネットワークに混ぜると、センサー遅延やウイルス侵入などのリスクが高まります。
業務用APなら、1本のLANケーブルで例えば3つのネットワークを仮想的に分離できるため、安全性と拡張性が大幅に向上します。
5.介護DXの成否はAPで決まる
介護施設のWi-Fi環境は、「つながるかどうか」ではなく、“安定してつながり続けるかどうか” が重要です。
その安定性を支えるのがアクセスポイントです。
・家庭用ではなく業務用を選ぶ
・電波と配線の両方を考慮して配置する
・ネットワークを分離する(VLAN)
・将来の機器増加を見据えて余裕を持たせる
これらを押さえることで、介護テクノロジー導入の成功率は大きく高まります。
次回のコラムでは、Wi-Fi整備の費用と、安物買いの銭失いを避ける判断基準について解説します。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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