介護制度改正・
介護報酬改定コラム

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住宅型有料老人ホームにおけるケアマネ新類型「登録施設介護支援」について

2026年4月3日、社会福祉法等の一部を改正する法律案が閣議決定されました。この法案は、福祉サービスの質の確保と、社会福祉事業の安定した経営基盤の両立を目的とした大規模な制度改正です。

今回の改正では、

  • 地域の包括的支援体制の強化
  • 中山間・人口減少地域での介護サービス確保
  • 身寄りのない高齢者支援の拡充
  • 有料老人ホームの透明性確保
  • 福祉人材の確保・研修制度の見直し

など、多岐にわたる内容が盛り込まれています。

その中でも、住宅型有料老人ホームにおけるケアマネジメントの新類型「登録施設介護支援」は、現場に大きな影響を与える可能性があります。

1.住宅型有料老人ホームの現状と課題

有料老人ホームには大きく2つの類型があります。
1つは介護保険サービスが適用される介護付き有料老人ホーム(特定施設)
もう1つが介護サービスは外部事業所を利用する前提とする住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、制度上、介護サービスの提供への関与が想定されていませんが、一方で、実態上は、併設・隣接する介護サービス事業所等の利用への限定・誘導などにより、入居者の主体的な介護サービスの選択が制約され、過剰な介護サービスが提供される事例、いわゆる「囲い込み」など、自立支援・重度化防止にとっての課題が顕在化しており、実態は制度の想定と大きく乖離しています。

つまり、住宅型有料老人ホームが“介護付き”のように振る舞っているケースが増えており、制度上の均衡が崩れているのです。

2.住宅型有料老人ホームへの「登録制」導入

今回の法案では、中重度の要介護者を入居対象とする住宅型ホームに“登録制”を導入します。

登録制の対象となるホームには、

  • 相談支援(ケアマネジメント)の独立性確保
  • 特定事業者の利用を入居条件にすることの禁止
  • 運営・人員基準の導入
  • 利用者保護のための規制

などが課されます。

これにより、住宅型有料老人ホームの透明性と利用者保護を強化する狙いがあります。

3.新たなケアマネジメント類型

「登録施設介護支援」とは?

登録制の対象となる住宅型ホームの入居者に対し、ケアプラン作成+地域生活相談を包括的に提供する新類型が創設されます。

● 居宅介護支援とは異なる仕組み

  • ホームと対等な立場で情報共有
  • 介護サービス調整だけでなく、地域活動への参加支援も含む
  • 利用者負担(原則1割)が発生
  • ホームの運営とケアマネジメントの独立性を担保

つまり、住宅型有料老人ホーム専用の“施設ケアマネ”のような位置づけになります。

※出典資料 260423社会福祉法等の一部を改正する法律案の概要(厚生労働省)

4.ケアプランの「利用者負担」が始まる

今回の法案で最も大きなポイントはここです。

登録施設介護支援では、利用者負担(1割)が発生

→ ケアプランの有料化が一部で開始される

制度を複雑化させる形で“部分的な有料化”を導入するため、現場では以下のような混乱が予想されます。

  • 有料老人ホームの入居者だけ負担が発生
  • 一般居宅の利用者は無料のまま
  • 事業所分割が必要になる可能性
  • 他の体制加算への影響
  • 請求・徴収の事務負担増
  • 利用者説明の難易度が上がる

筆者の意見となりますが、これならば「全利用者に対して有料化する方がまだわかりやすい」 と思っておりますし、現場側からも同様の意見が出ると考えております。

今回の法案は閣議決定された段階であり、今後、介護給付費分科会などの審議会で詳細が詰められていきます。とはいえ、住宅型有料老人ホームにおけるケアマネジメントは、

「登録施設介護支援」という新類型の創設により、大きな転換点を迎えます。

  • 囲い込み対策の強化
  • ケアマネジメントの独立性確保
  • 登録制の導入
  • ケアプランの一部有料化
  • 新たな相談支援の仕組み

上記の内容を含めた制度の狙いは理解できるものの、現場にとっては複雑化・負担増が避けられない内容です。

今後の審議会で詳細が固まり次第、また情報をお届け致します。

この記事の執筆者

佐藤 慎也
介護経営コンサルタント

◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。 介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。 介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

執筆者

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