介護業界関連コラム
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介護テクノロジー導入の前に知っておくべきこと ~其の3~
Wi-Fi整備の費用はどれくらい必要か?安物買いの銭失いにならないために
介護施設でテクノロジー機器を導入する際、必ず問題に上がるのが「Wi-Fi環境の整備費用」です。
センサーマット、インカム、タブレット記録などこれらはすべて“安定したWi-Fi”が前提で動きます。
しかし、実際の現場では次のような声をよく耳にします。
「Wi-Fiなんて家庭用で十分じゃないの?」
「とりあえずこの部屋だけつながればいい」
「業者によって見積りが全然違うのはなぜ?」
こうした誤解が、後々のトラブルや追加費用につながります。
本コラムでは、介護事業者が押さえておくべき Wi-Fi整備の費用構造と、安物買いの銭失いを避ける判断基準を解説します。
1.Wi-Fi整備の費用は「機器代+工事費+構築費」で決まる
Wi-Fi整備は、単にアクセスポイント(AP)を買えば済む話ではありません。
費用は大きく次の3つで構成されます。
① 機器代(アクセスポイント・PoEスイッチなど)
業務用APは、家庭用とは性能がまったく異なります。同時接続台数、耐久性、電波の安定性、ネットワーク分離機能など、介護施設に必要な要件を満たすためには、業務用APが必須です。
② 配線工事費
Wi-Fiは「電波」ですが、APを設置するには必ずLANケーブルが必要です。
古い建物では天井裏に配管がなく、
・ケーブルが通らない
・エアコンや梁が邪魔
・電源が確保できない などの理由で工事が難航することがあります。
工事費は建物の構造や規模によって大きく変わりますが、100床クラスの特養であれば200~300万円かかるのが一般的です。
③ ネットワーク構築費
業務用・センサー用・利用者用Wi-Fiを分離するための設定(VLAN構築)や、セキュリティ設定、機器の初期設定などが必要です。
100床規模の特養で、テクノロジー機器を安定して使えるWi‑Fi環境を整備する場合、費用は数百万円〜1,000万円弱になることが珍しくありません。
もちろん建物構造・AP台数・配線工事の難易度によって大きく変動しますが、これが“介護DXの土台”に必要な現実的な投資額です。※今後も人件費・工事費の高騰が予想されるため更に高くなる可能性が高いです。
2.建物構造で費用は“2倍”変わる!?
費用を大きく左右するのが「建物の構造」です。
● RC造(鉄筋コンクリート)
電波が通りにくく、AP台数が増える。
結果として工事費・機器費が高くなる。
● 木造
電波が通りやすく、うまくいけばAP台数が半分になることも。
費用は 1/2〜2/3に下がるケースもあります。
つまり、調査しないと本当の費用はわからないです。
3.小規模導入は“後悔の元”になる
「まずは見取り介護の部屋だけでいい」
「このフロアだけでいい」
こうした小規模導入は、後から必ず問題になります。
● なぜか?
APの位置は「施設全体の最適化」を前提に決める必要があるため、部分的に導入すると、後から追加した際に 位置が最適化できず、再工事が発生します。
結果として、
・配線のやり直し
・APの付け替え
・設定の再構築 などが必要になり、二重の費用が発生します。
4.家庭用Wi-Fiは“安物買いの銭失い”の典型例
家庭用Wi-Fiは、介護施設ではほぼ確実に破綻します。
● 理由
・同時接続台数が少ない
・長時間稼働に向かない
・電波が不安定
・VLAN分離ができない
・センサー、インカム、タブレットの大量接続に耐えられない
結果として、 通信が途切れる → 機器が誤作動 → 職員のストレス増加 → 再導入という最悪の流れになります。最初から業務用を導入した方が、 長期的には圧倒的に安く済みます。
5.正しい判断基準は「安さ」ではなく「安定性」
Wi-Fi整備は、介護テクノロジー導入の“土台”です。土台が不安定であれば、どれだけ高性能な機器を導入しても意味がありません。
介護事業者が押さえるべき判断基準は次の通りです。
・業務用APを選ぶ
・建物構造を踏まえて調査する
・小規模導入ではなく全体最適で考える
・配線工事を軽視しない
・ネットワークは必ず分離する(VLAN)
・将来の機器増加を見据えて余裕を持たせる
これらを押さえることで、 「安物買いの銭失い」を確実に避けられます。
次回のコラムでは、Wi-Fiの耐用年数と、故障時に職員が見るべきポイントについて解説します。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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