介護業界関連コラム
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令和7年度ユニット型特養の建設費について
1.平米単価は調査以降過去最高の443千円へ。建設費の高騰は止まらない
福祉医療機構が2025年度(令和7年度)版として公表した「福祉・医療施設の建設費について」では、ユニット型特別養護老人ホームの建設費が過去最高水準となったことが示されています。この調査は2008年度(平成20年度)から開始されており、福祉施設(ユニット型特別養護老人ホーム及び保育所・認定こども園)ならびに医療施設(病院)の建設費の状況を取りまとめたものとなっております。
ユニット型特養の平米単価はここ十数年上昇傾向が続いており、ユニット型特養の平米単価は、令和6年度の 387千円 を大きく上回り、令和7年度は 443千円(+56千円)となりました。
2014年度(平成26年度)の 259千円 と比較すると、わずか10年で 約1.7倍 に上昇しており、建設費の高騰が長期的なトレンドであることがわかります。
地域別でみても
首都圏473千円、近畿463千円、全国443千円、北海道・東北401千円、
関東・甲信越385千円と、全国的に高騰傾向が続いています。
2.定員1人当たり建設費は18,325千円。面積縮小で前年より減少
令和7年度の定員1人当たり建設費は全国平均で18,325千円
前年度から1,231千円減少しています。
一見すると建設費が下がったように見えますが、これは「平米単価が下がった」のではなく、
1人当たり面積が縮小されたことによる見かけ上の減少です。
令和6年度:48.3㎡
令和7年度:42.0㎡(▲6.3㎡)
つまり、面積を削らなければ建設費はさらに上昇していた
ということになります。

3. 建設費は10年で約1.5倍。オリンピック後も下がらず、むしろ上昇
グラフの建設費の推移をみると
2014年度(平成25年度)の定員1人当たり建設費は 12,009千円。
2025年度(令和7年度)が18,325千円と約1.5倍に増加しています。
2018~19年頃には「東京オリンピックが終われば、建築費は少し下がるはず」という声が多く聞かれましたが、結果としては下がるどころか 上昇し続けているのが現実です。
今後も建設費が下がる要素はほとんどなく、むしろ資材・人件費の高騰により、さらに上昇する可能性が高いと考えられます。
4.建設費は上がるのに、介護報酬はほぼ横ばい。経営環境は厳しさを増す
建設費が急激に上昇している一方で、介護報酬は10年前とほぼ同じ水準に留まっています。
さらに、最低賃金は
2015年:798円
2025年:1,121円
と、約1.4倍 に上昇。
水光熱費や物価も高騰しており、介護施設の経営環境は年々厳しさを増しています。
5.老朽化した施設の改修も困難に。建設費高騰が改修の壁に
開設から20年が経過した施設が増加しており、老朽化に伴う大規模改修の必要が出てきています。
しかし、建設費の高騰により、「改修したいが踏み切れない」という施設が増えています。
新設も改修も高額化しているため、事業者はどちらにも動きづらい状況に置かれています。
6.今後求められるのは建設費を抑える新しい工法・技術
建設費の高騰は避けられない課題ですが、建築技術や資材の革新によって、これまでとは異なるアプローチが生まれる可能性もあります。
たとえば、
・新しい建築工法
・代替資材
・モジュール化による省施工
・ICTを活用した効率的な施工管理
など、建設費を抑えながら品質を確保できる手法は、今後さらに発展していくはずです。
介護施設の建設・改修がより取り組みやすくなるよ
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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