介護業界関連コラム
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介護テクノロジー導入の前に知っておくべきこと ~其の5~
ネットワークは“分ける”が正解:業務・センサー・利用者Wi-Fiを安全に共存させる方法
介護施設でテクノロジー機器を導入する際、最も誤解されているポイントが「ネットワークは全部まとめて使えばいい」という考え方です。
しかし、実際には ネットワークを分離(VLAN)しなければ、業務・センサー・利用者の通信が互いに干渉し、重大なトラブルにつながります。
本コラムでは、介護事業者が必ず押さえておくべきネットワーク分離の重要性を解説します。
1.なぜネットワークを“分ける”必要があるのか?
介護施設では、次のような多様な機器がWi-Fiに接続します。
・記録用PC、タブレット
・見守りセンサー
・インカム
・入居者のスマホ、タブレット
・家族の面会用Wi-Fi
・医師のオンライン診療用など
これらを同じネットワークに混ぜると、次のような問題が発生します。
① センサーが遅延する
センサーマットの通知が遅れたり、インカムが途切れたりする。
② 記録システムが同期しない
業務用の通信が利用者のスマホ通信に押しつぶされる。
③ 利用者のスマホが業務ネットワークに侵入するリスク
ウイルス感染や情報漏えいにつながる可能性がある。
④ IPアドレス重複でネットワーク全停止
既存LANの構造が不明なまま機器を追加すると、記録・会計・勤怠などのシステムがすべて止まることも。
つまり、ネットワークを分離しないことは、施設全体の通信事故につながる重大リスクなのです。
2.VLANとは何か?介護事業者向けに“わかりやすく”説明すると…
VLAN(Virtual LAN)は、1本のLANケーブルの中身を仮想的に複数に分ける技術です。
イメージとしては、「1本の道路を3車線に分ける」ようなものです。
● 業務用
記録・PC・タブレットなど、業務に関わる通信。
● センサー用
見守りセンサー、インカムなど、リアルタイム性が必要な通信。
● 利用者用
入居者・家族・医師など、インターネットのみ利用する通信。
これらを 仮想的に完全分離することで、互いの通信が干渉しなくなります。
3.分離すると何が良いのか?メリットは“安全性+安定性+拡張性”
① センサーが安定する
センサー用ネットワークは業務用と独立しているため、遅延や途切れが大幅に減ります。
② 記録システムが安定する
利用者のスマホ通信に押しつぶされることがなくなる。
③ 利用者用Wi-Fiを安全に提供できる
入居者・家族・医師が自由に使えるWi-Fiを提供しつつ、業務ネットワークには一切触れさせない。
④ 拡張が簡単になる
新しいセンサーや機器を追加しても、 どのネットワークに接続すべきかが明確。
⑤ 既存LANを触らずに済む
既存LANの構造が不明でも、 無線LAN専用ネットワークを新設すれば安全に運用できる。
4.利用者向けWi-Fiは“今後必須”になる
近年、介護施設では利用者向けWi-Fiのニーズが急増しています。
・入居者のスマホ・タブレット利用
・家族とのオンライン面会
・医師のオンライン診療
・レクリエーションでの動画視聴
これらはすべて「インターネット接続」が前提です。
しかし、利用者用Wi-Fiを業務用と混ぜると、セキュリティ事故や通信障害の原因になります。だからこそ、 利用者用Wi-Fiは必ず独立させる(VLAN分離)ことが必要なのです。
5.ネットワーク分離は“業務効率化の前提条件”
介護DXは、 「機器を導入すること」ではなく、“機器が安定して動き続ける環境を整えること”が本質です。
そのためには、
・既存LANを触らない
・無線LAN専用ネットワークを新設する
・業務・センサー・利用者を分離する
・VLANで安全性と拡張性を確保する
これらが不可欠です。
ネットワーク分離は、 介護テクノロジー導入の“最後のピース”であり、最も重要な基盤と言えます。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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