介護業界関連コラム

更新日:

介護ロボット導入支援事業は発展的見直し。 新たな名称は介護テクノロジー導入支援事業

令和6年3月中旬頃に成立予定の令和6年度予算ですが、介護事業者さんに馴染みであった介護ロボット導入支援事業・ICT導入支援事業がなくなります。
なくなりますと書いてしまうとこの導入支援事業自体がなくなってしまうかのように思ってしまいますが、正確には発展的見直しということで、新たに介護テクノロジー導入支援事業という名称に生まれ変わります。

これは今まで二つに別れていた支援メニューの再構築を行い、介護職員の業務負担軽減や職場環境の改善に取り組む介護事業者がテクノロジーを導入する際の経費を補助し、生産性向上による働きやすい職場環境の実現を推進するためとなっております。

新設される補助対象や補助要件は?

今回、補助対象として【介護ロボット】【ICT】【介護現場の生産性向上に係る環境づくり】以外に【その他】という項目が新たに加わります。内容は介護ロボットやICT等を活用するためのICTリテラシー習得に必要な経費となっております。具体的な内容は国の要綱がでてくるまでわかりませんが、介護ロボットやICTを有効活用するためには一定の知識が必要であり、その習得に係る経費を負担するということで、国としては生産性向上を推進していくためにはこのような知識にお金をかけることは重要とみなしているということになります。

補助要件としては介護ロボットのパッケージ導入モデル、ガイドライン等を参考に、課題を抽出し、生産性向上に資する取組の計画を提出の上、一定の期間、効果を確認できるまで報告すること。(必須要件)と記載されております。現在も補助を受ける要件として導入計画の作成や導入効果報告は要件とされておりましたのでこの文面だけではあまり差がないような感じはしますが、都道府県ごとにバラバラであった提出書式などがこれを機に統一するや、具体的な課題抽出などを求められる可能性があります。

【介護現場の生産性向上に係る環境づくり】

今まで見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備として上限750万円がついていましたが、今回新たに、介護ロボット・ICT等の導入やその連携に係る費用が追加されております。また上限額も1,000万円に引き上げられております。金額がひきあげられている分、補助要件も今までよりも細かな内容が示唆されております。

出典資料:令和6年度予算案の概要(老健局)の参考資料(厚生労働省)

今回、介護ロボット導入支援事業等改めて介護テクノロジー導入支援事業ですが、別コラムでご紹介した生産性向上に資する介護ロボット・ICTの導入支援とは別ものとなります。令和6年度は介護ロボット等の導入に使える補助金が2つ出てくる可能性があります。令和威6年度介護報酬改定においてもテクノロジー機器活用を推奨する生産性向上推進体制加算が新設されておりますので、有効的な活用をご検討ください。

更新日:

令和5年度補正予算で生産性向上に 資する介護ロボット・ICTの導入を支援

令和5年11月29日に令和5年度補正予算が成立しました。この補正予算のなかには介護事業者さんとして見逃せない項目が入っております。それが【介護・障害福祉分野へのICT・ロボットの導入等による生産性向上や経営の協働化等を通じた職場環境の改善 】介護サービス事業者の生産性向上や協働化等を通じた職場環境改善事業です。

こちらは令和5年度の補正予算額として351億円もの金額がついております。介護人材不足、生産人口の減少が顕著な中で介護現場の生産性向上は国としても後押しをしなければいけない事項として、予算編成のなかで財務省がかなり金額をプッシュしてくれたという事業となっております。

支援メニュー

現在、公表されている資料に記載されている支援メニューは以下の三点となっております。

  1. 生産性向上の取組を通じた職場環境改善
    1. 生産性向上に資する介護ロボット・ICTの導入や更新・事業所の業務効率化に向けた課題解決を図るための業務改善支援及びこれと一体的に行う介護ロボット・ICT の導入や更新に対する支援
    2. 地域全体で生産性向上の取組を普及・推進する事業の実施
      • 地域の複数事業所における機器の導入に向けた研修や、地域のモデル施設の育成など、都道府県等が主導して面で生産性向上の取組を推進
      • 都道府県等が主導して、ケアマネ事業所と居宅サービス事業所の間で交わされるケアプランデータ連携システム等の活用を地域で促進し、データ連携によるメリットや好事例を収集
  2. 小規模事業者を含む事業者グループが協働して行う職場環境改善
    • 人材募集や一括採用、合同研修等の実施、事務処理部門の集約、協働化・大規模化にあわせて行う老朽設備の更新・整備のための支援等

この中でも注目は(1)①です。金額の負担割合は国・都道府県3/4、事業所が1/4となっておりますので介護ロボット導入支援事業よりも事業所負担が少ない形となっております。

※介護ロボット導入支援は要件を満たせば事業所負担が1/4となる場合もあります。
資料だけは詳細事項はわかりませんが、厚生労働省に確認すると内容的には介護ロボット導入支援とほとんど同じということでした。

実施主体は都道府県、実施期間は令和6年度中

この介護サービス事業者の生産性向上や協働化等を通じた職場環境改善事業ですが、実施主体は都道府県(都道府県から市町村への補助も可)となっております。つまりやるもやらないも都道府県次第となります。国としてはメニューを用意したので執行は都道府県へという状態になっており、厚生労働省の担当官も是非、皆さんに使って頂き、実績をあげて頂くことで補正予算でなく正式な予算への移行にして頂ければというような発言もしておりました。令和5年度補正予算となりますので令和6年度中までに実施する必要があります。

皆さんからすればやるもやらないも都道府県次第なら待ちの状態になってしまうかと思いますが、本稿をお読みの皆さんが行政に問い合わすことで、望んでいる事業者さんが多いという事を実感して動く都道府県もあるかと思います。

都道府県からメニューが出た際はどうぞ有効的な活用をして頂ければと思います。