介護業界一般知識
介護サービスの種類について
介護保険制度は2000年(平成12年)に創設され、それ以降、高齢者のニーズに対応するため3年に1度の介護保険改定でサービスの充実を図っています。現在、介護サービスの数は予防サービス*を含めると40種類以上に上ります。
その数の多さから、介護業界で働いている人でも全てのサービス種別やその内容を正確に把握している人は多くありません。
*要支援の人が対象のサービス
介護保険における三つのサービス分類について
40種類以上ある介護サービスは、『居宅介護サービス』『地域密着型介護サービス』『施設サービス』の三つに分けらます。
〇居宅介護サービス
居宅介護サービスは、基本的に自宅で生活を送りながら使えるサービスで、『訪問サービス』『通所サービス』『短期入所サービス』『その他』の四つに分けることができます。
- ①訪問サービス:自宅に誰かが訪問。訪問する職種でサービス名称が変わります。
- ②通所サービス:自宅からサービス提供される場所に通います。通所は「通う所」という意味です。
- ③短期入所サービス:自宅を離れて短期間(最大1カ月以内)の滞在をします。
- ④その他:福祉用具貸与や購入、住宅改修、居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)などがあります。また、入居施設にあたる特定施設入居者生活介護もここに分類されます。
居宅=自宅=在宅:介護業界では自宅のことを居宅と呼んだり、在宅と呼んだりしますが、いずれも家にいることを指し意味は同じです。
〇地域密着型介護サービス
市町村単位で設定されているサービスです。自宅にいながら受けられるサービスと自宅を離れて受けるサービスとが混在しています。
市町村単位で設定が異なりますが、基本的に定員規模は最大29人以下で、その市町村の住人のみがサービスを受けることができます。
〇施設介護サービス
自宅を離れて施設に入所して暮らすことが前提です。
以前は、特養、老健、介護療養型医療施設が介護保険3施設と言われていましたが、介護療養型医療施設は2024年(令和6年)3月31日で廃止となり、代わりに介護医療院が据えられています。
介護サービスの正式名称と通称
介護サービスの種類をややこしくしている原因の一つに正式名称と通称が異なっているということが挙げられます。(例:介護老人福祉施設(正式名称)→特別養護老人ホーム(通称)・特養(略称))
下記の表は、介護保険サービス事業の分類をした上で、各種サービスの正式名称と通称を記載しました。正式名称と通称・略称を覚えておくことで、介護業界の理解がスムーズになります。
介護サービスの種類 | 正式名称 | 通称 | |
---|---|---|---|
居宅(介護予防)サービス | 訪問サービス | 訪問介護 | ヘルパーステーション |
訪問入浴介護 | |||
訪問看護 | 訪看 | ||
訪問リハビリテーション | 訪リハ | ||
居宅療養管理指導 | |||
通所サービス | 通所介護 | デイサービス | |
通所リハビリテーション | デイケア・通リハ | ||
短期入所サービス | 短期入所生活介護 | ショート | |
短期入所療養介護(老健) | |||
短期入所療養介護(病院等) | |||
福祉用具・住宅改修サービス | 福祉用具貸与 | ||
福祉用具購入費 | |||
住宅改修費 | |||
特定施設入居者生活介護 | 介護付き有料老人ホーム等 | ||
居宅介護支援 | ケアプランセンター | ||
地域密着型(介護予防)サービス | 夜間対応型訪問介護 | ||
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | |||
地域密着型通所介護 | 地域密着型デイ・小規模デイ | ||
認知症対応型通所介護 | 認知デイ | ||
認知症対応型共同生活介護 | グループホーム | ||
地域密着型特定施設入居者生活介護 | 地域密着型介護付き | ||
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 | 地域密着型特養 | ||
小規模多機能型居宅介護 | 小多機 | ||
看護小規模多機能型居宅介護 | 看多機 | ||
施設サービス | 介護老人福祉施設 | 特養 | |
介護老人保健施設 | 老健 | ||
介護医療院/介護療養型医療施設 | 介護医療院 |
有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅について
特養、老健、介護医療院やグループホーム、特定施設入居者生活介護など、いわゆる自宅を離れて生活をする入所系・居住系と呼ばれる介護保険が建物まるごとに適用される施設がある一方で、自宅と同じ扱いで居宅サービスを使いながら生活を続ける高齢者向けの住まいがあります。高齢者向けの住まいで代表的なものが住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅です。
有料老人ホームは健康型・住宅型・介護付きの3分類に分かれますが、圧倒的に数が多いのが住宅型有料老人ホームです。介護付き有料老人ホームは有料老人ホームの中でも特定施設入居者生活介護の指定を受けたものとなっており介護保険のサービスが適用されます。
高齢者円滑賃貸入居住宅や高齢者優良賃貸住宅、高齢者専用賃貸住宅などを経た上で、2011年10月に高齢者住まい法の改正に伴い新しく誕生したのがサービス付き高齢者向け住宅(以降、サ高住と表記)です。サ高住は状況把握サービス・生活相談サービスが必須の生活支援等のサービスがある高齢者住宅です。
住宅型有料老人ホームとサ高住は、ともに介護保険の指定を受けていない高齢者向けの住まいとなっており、介護保険を使用する場合は居宅サービスを使用することになります。そのため、運営事業者からすれば、住宅型有料老人ホームとサ高住では、運営という意味では大きな違いはあまりありません。
参考として『介護保険施設の比較』と『高齢者向け住まいの概要』をご覧ください。
下記の図は、月額の費用負担と介護度 による施設・高齢者向けの住まいを当てはめたイメージ図です。厳密には少し異なる部分もありますが、あくまでイメージ図ということで理解してください。
介護保険費用はサービス種別ごとで多少の違いはあるものの大きな差はなく、賃料(入居費)、管理費、食費などで負担費用に大きく差がつきます。
一般的に、介護付き有料老人ホームは負担する費用が多く、特養などは所得に応じて低額な金額でも利用することが可能です。サ高住と住宅型有料老人ホームを比較すると、居室面積の違い(サ高住の方が広いものが多い)により一般的にはサ高住の方が少し高額となりますが、運営事業者さんの考え方次第のため差がないことも多く見受けられます。
介護度については、自立(非該当)・要支援1~2、要介護1~5の計8段階に分かれています。要介護度は数値が高いものほど状態が重いレベルを指します。上記の図は厚生労働省が示したものです。介護3~5が中重度者と呼ばれ、一般的には車いすや寝たきりのご利用者さまなど、状態の重い方となります。
令和3年度介護給付費等実態統計報告(令和3年5月~令和4年4月審査分)によると、特養の平均介護は3.94、老健が3.17、介護医療院が3.21、グループホームが2.69、特定施設が2.7などになっています。
動画集
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介護保険3施設にとは
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デイサービスとは
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認知症グループホームについて
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小規模多機能居宅介護とは
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看護小規模多機能居宅介護とは
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特定施設入居者生活介護とは
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住宅型有料老人ホームとは
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サービス付き高齢者向け住宅とは
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ナーシングホーム・ホスピスとは
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介護報酬とサービス毎の算定構造とは