介護処遇改善加算コラム
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令和7年度介護職員等処遇改善加算のキャリパス要件Ⅳについて
小規模事業者にとって大きな課題となっていたキャリアパス要件Ⅳ(1人以上で年収440万円以上の基準)は、処遇改善加算Ⅱの取得に向けた障壁でした。令和7年度においては、処遇改善加算の更なる取得促進に向けた方策として、現行規定において「加算の算定見込額が少額であることその他の理由により、当該賃金改善が困難である場合」は当該要件の適用除外となっている点について、当該規定の周知や明確化を行うとされ、厚生労働省から3/7に発出されたリーフレットにも440万円以上の賃上げが困難である場合は免除という記載がされております。

キャリパス要件Ⅳの免除される条件とは?
440万円以上の賃上げが困難である場合は免除となっておりますが、申請様式を確認すると以下の4つの中から1つを選択すると免除される形となります。
- 小規模事業所等で職員間の賃金バランスに配慮が必要のため。
- 職員全体の賃金水準が低い、地域の賃金水準が低い等の理由により、直ちに年額440万円まで賃金を引き上げることが困難であるため。
- 年額440万円の賃金改善を行うに当たり、規程の整備や研修・実務経験の蓄積などに一定期間を要するため。
- その他
セミナーを行った際によく事業所さんからいただく質問が、①小規模事業所等で職員間の賃金バランスに配慮が必要のため。となっていますが、この小規模事業所等の小規模にはなにか基準があるのかどうかということです。
小規模事業所の基準はあるのか?
あくまで個人的な見解となりますが、小規模事業所等である基準は特に定められていないので、小規模な事業所である合理的な説明が出来れば特に問題ないと思いますよとセミナーなどではお伝えをさせて頂いております。確かに、例えば訪問介護においては「1月あたりの延べ訪問回数が200回以下」ですと小規模事業所と見なされたりしますし、定員18名以下のデイサービスも通常・大規模デイがあるので括りとしては小規模デイとなります。他にも小規模多機能型居宅介護なんて名前に小規模が付いていますから、小規模事業所と見なしても問題なさそうです。と、ここまでくるとややこじつけっぽくなりますが…
そもそもこの440万円以上の要件は特定処遇改善加算の際につけられたものでした。その際にデイサービスの運営者さんからは、加算率が低くて月に3万円しかもらえないのに要件を満たすことなんて出来ないというお話は普通によくありました。私がお伝えする合理的な説明の例ですが、例えば平均年収400万円、人数10名、加算予定額300万円なら440万円以上の設定は可能に思えませんか?これが平均年収350万円、人数10名、加算予定額300万円なら厳しいとなりませんか?ということです。
基準は特に定められていないが、合理的な説明がきちんとできるなら問題ないと思いますというのはこういうことです。ちなみに3/17に発出されている介護保険最新情報Vol.1367の処遇改善加算Q&A問5-8に「合理的な説明」とはどのようなものを想定しているのか?との問いに対して、上記①~③の等の理由が考えられ、指定権者の判断により、幅広く認められるものである。となっておりますので最終判断は指定権者となります。
ただ、処遇改善加算については、国としては取得をして欲しいが前提です。加算Ⅰを取るためには介護福祉士等の配置要件があるのでここは難易度がありますが、加算Ⅱまでなら多くの事業所さんに取ってもらいたいのが本音となっておりますので積極的に加算Ⅱを取得頂ければと思います。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

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