介護処遇改善加算コラム
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介護職員等処遇改善加算の令和7年度の要件と配分ポイントについて
令和7年度からは厳格化されるはずだった介護職員等処遇改善加算ですが、更なる取得促進に向けた方策ということで、多くの要件が令和6年度同様に緩和されたままとなりました。すでに計画書の提出期限(4/15)は過ぎておりますが、改めて令和7年度の要件と配分ポイントをお伝えしたいと思います。
令和7年度 介護職員等処遇改善加算の要件
- キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等) R7年も誓約対応可
- キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等) R7年も誓約対応可
- キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等) R7年も誓約対応可
- キャリアパス要件Ⅳ(改善後の年額440万円要件) R7年は困難な場合は免除に
- キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件)
- 月額賃金改善要件Ⅰ(月給による賃金改善) R7年度から適用
- 月額賃金改善要件Ⅱ(旧ベースアップ等加算相当の賃金改善) ベア取得済は関係なし
- 職場環境等要件 R7年は誓約対応可or「介護人材確保・職場環境改善等事業」を申請した場合は免除
当初より予定していた⑥月額賃金改善要件Ⅰ(加算Ⅳの加算額1/2以上を基本給等で配分する)だけは適用となりましたが、他はほとんどが緩和されたため、処遇改善加算Ⅱまでは取得しやすい形となりました。特に小規模事業者さんにとって大きなネックとなっていたキャリパス要件Ⅳ(1人以上で年額440万円以上)は今回免除されたことで処遇改善加算Ⅱの取得に弾みをつけたと思います。
また、令和7年度からは本来、加算Ⅰ・Ⅱを取得していれば職場環境要件の区分ごとに2つ以上(生産性向上は3つ以上うち⑰又は⑱は必須)に取組必要がありました。加算Ⅲ・Ⅳの場合は区分ごとに1つ以上(生産性向上は2つ以上)こちらも誓約対応、もしくは令和6年度補正予算の「介護人材確保・職場環境改善等事業」を申請した場合は免除ということで事業者さんからすると大きくハードルが下がった形となりました。
令和7年度の処遇改善加算配分ポイントとは
上記のように多くの要件が弾力化、緩和されたため、令和7年度と令和6年度の一番の大きな違いは⑥月額賃金改善要件Ⅰ(加算Ⅳの加算額1/2以上を基本給等で配分する)だけとなります。すでに令和6年度の処遇改善加算における配分でこの要件を満たしている場合は何も変更することなく、令和7年度も配分して問題ありません。
一方、令和6年度までの配分において、旧3加算のベア加算に相当する金額のみで月額賃金等を改善していた事業者さんは、令和7年度からは一時金や賞与等における配分金額を引き下げて、月額賃金等を引き上げる必要があります。加算額やサービス種別によって金額の多寡はあると思いますが、下の図のような場合ですと今までの月額賃金等と比較すると4倍以上の額を配分する必要が出てくる事がありますのでこの点をしっかりと抑えて配分頂ければと思います。

この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

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