介護処遇改善加算コラム

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処遇改善加算一本化で事務負担は軽減されるか?

令和6年6月から一本化される介護職員等処遇改善加算。事業者さんの中でも特に事務方でこの処遇改善加算等を担当していた方からすれば念願叶っての一本化となりましたが果たして事務負担は軽減されるのでしょうか?

3本の処遇改善加算等

処遇改善加算等は、介護職員処遇改善加算 、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算の3本となっております。それぞれの加算にはきちんと目的があります。介護処遇改善加算は介護職の賃金引上げ。介護職員等特定処遇改善加算は経験・技能のある介護職員の優遇に重点化。介護職員等ベースアップ等支援加算は介護職員らの給与を月額3%ほど引き上げ。この目的のもとに対象職種や取得要件が絡みあって複雑な形となっており、事業所さんとしては頭を悩ます大きな原因となっておりました。

一本化による3つの大きな変更点

今回、処遇改善加算等を一本化するにあたって3つの大きな変更点がありました。

  1. グループごとの配分ルールを撤廃
  2. 新加算(Ⅳ)の1/2以上を月額賃金で配分
  3. 職場環境等要件の見直し

事業者さんからすれば配分方法や事務負担で一番手間のかかっていた介護職員等特定処遇改善加算のグループごとの配分ルールが撤廃されたことは朗報といえるでしょう。事実、このグループごとの配分ルールが複雑で面倒なため、他の二つの加算と比較して介護職員等特定処遇改善加算の算定率は低いものとなっておりました。

次に今回の加算で一番下の加算となる(Ⅳ)で貰える加算率の1/2以上を月額賃金で配分ですが、これは現在の介護職員等ベースアップ等支援加算で既に2/3以上を月額賃金で配分しているので問題ない。という風に思ってしまいがちですが、介護職員等ベースアップ等支援加算よりも加算率が遥かに高いため、事業者さんとしては配分方法の見直しが必要となります。三つ目の職場環境等要件の見直しですがこちらは内容、項目が増えており、事業者さんからすれば対応しなければならない項目が増える形となっております。

並列から直列へ、結局負担は変わらない!?

今回の介護職員等処遇改善加算、確かに一本化はされますが4段階にわかれる形となっております。私が最初に今回の介護職員等処遇改善加算の資料を見て感じたのは3本横並びであった加算が、一本化はされたけど直列の4段階に変化しただけで取得や事務負担は楽にならないのではないか!?です。本稿を書いている段階ではQ&Aがまだ出ておりませんので具体的な部分まで言及できませんが図表を見る限りでは、現在の3加算の要件をバラシて積上げた形になっております。

出典資料:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(厚生労働省)

事業所さんからすればようやく楽になるかと思われた処遇改善加算等の一本化ですが、現時点ではその効果は薄いどころから初年度もしくは2年目においては加算の配分などを一から組立直しをする必要があるため負荷がかかることは間違いないでしょう。

この記事の執筆者

佐藤 慎也
介護経営コンサルタント

◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。 介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。 介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

執筆者

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