介護処遇改善加算コラム

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再び複数加算へ?令和8年度処遇改善加算は二層構造へ
上位区分の創設と新設サービスで複雑化する全体像を整理する

令和8年度の処遇改善加算は、これまでにない大きな構造変化が行われました。
厚生労働省が1月16日に公表した資料では、色分けが多く一見すると非常に複雑に見えますが、実は「上下2つの図を分けて理解する」ことで全体像がスッキリ整理できます。

今回のコラムでは、この“二層構造”の意味と、事業者が押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。

「上下の図は別物」ということ 

上:従来からある処遇改善加算の対象サービス(訪問介護・デイ・特養・GHなど)
下:今回新たに加わったサービス(訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援など)

を示しています。

この2つは“同じ処遇改善加算”ではありますが、仕組みが異なるため、別の加算に見えるほど構造が違うという点が今回の最大の特徴です。

下記の図のように考えるとわかりやすいです。

上段:従来の処遇改善加算は「四段階+上位区分」で二層構造に

従来の処遇改善加算は加算Ⅰ〜Ⅳの四段階で構成されていました。
今回の改定では、ここに新たに加算Ⅰロ・加算Ⅱロ(上位区分)が追加され、二層構造になりました。

①:加算率の引上げ(全事業所に関係)
②:上位区分(ロ)の創設(特例要件を満たした事業所のみ)

つまり、「加算Ⅰ〜Ⅳ」+「加算Ⅰ・Ⅱの上位区分(ロ)」という重層構造に変わったということです。単独事業所や、従来の対象サービスのみを運営している法人は、「加算率が上がった+上位区分ができた」という理解で問題ありません。

下段:訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援は“1段階のみ”の別体系

今回新たに処遇改善加算の対象となった、訪問看護、訪問リハ、居宅介護支援、介護予防支援。これらは、従来の四段階構造とは異なり、加算は1段階のみというシンプルな形になっています。

複数サービスを運営する法人は二つの加算体系を同時に扱うことに

図のように上下で分かれている点が今回の最大の混乱ポイントです。
例えば、訪問介護(上段の四段階+上位区分)と居宅介護支援(下段の1段階)を同時に運営している法人は、同じ「処遇改善加算」でも、まったく異なる体系の加算を扱うことになるということです。

法人によっては、「なぜ統一しなかったのか?」と感じるほど複雑に見える構造です。

まとめ

1.従来サービスは「四段階+上位区分」の二層構造へ
2.新設サービスは「1段階のみ」
3.複数サービスを運営する法人は“別体系の加算”を扱う必要がある
4.令和8年度特例要件(ケアプランデータ連携・生産性向上推進体制加算・社会福祉連携推進法人)は上位区分の鍵 ※現行の処遇改善加算対象サービス
5.誓約対応が可能なため、まずは取得を前提に動くことが重要

令和8年度の処遇改善加算は、「四段階+上位区分」と「1段階」の二層構造という、せっかく令和6年度に一本化された内容が、また複雑な仕組みに感じるようになりました。

単独サービスの事業所は比較的シンプルですが、複数サービス種を運営する法人は、「同じ処遇改善加算なのに体系が違う」という状況に直面します。

ただし、構造を正しく理解すれば、そこまで難しい内容ではありませんので、今回のコラムが、その整理の一助になれば幸いです。

次回のコラムでは、『現行の処遇改善加算の対象サービスは月額賃金要件に気を付けて‼』について解説します。

この記事の執筆者

佐藤 慎也
介護経営コンサルタント

◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。 介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。 介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

執筆者

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