介護処遇改善加算コラム
更新日:
なぜ令和8年度に『期中改定』が行われたのか。
処遇改善が急がれた背景とは
令和8年度の介護報酬は、本来の3年に1度の改定(令和9年度)を待たず、異例の「期中改定」が実施されることになりました。改定率は+2.03%で、そのうち1.95%が処遇改善分です。これは、介護従事者の賃金を引き上げるための緊急措置です。
なぜ期中改定が必要になったのか?
背景には、令和6年に起きた賃金格差の急拡大があります。
物価高騰を受け、一般産業は大幅な賃上げを実施しましたが、公的制度である介護業界は報酬改定がなければ賃上げができません。その結果、令和5年〜6年で介護職の賃金は他産業と比べて差が広がり、人材流出が加速しました。
介護職員数の減少という危機
令和5年度は2000年の介護保険制度開始以来、初めて介護職員数が減少しました。
令和4年度 215.4万人 → 令和5年度 212.6万人(約3万人減)
※令和5年度→令和6年度は横ばいの212.6万人
介護を必要とする人、需要は増え続けているのに、介護をする人、供給は減少という状況のなかで、このままでは介護サービスが維持できないという危機感が、今回の期中改定につながりました。
令和8年度処遇改善加算の内容
・介護従事者全体に月1万円
・生産性向上・協働化に取り組む事業者には+7千円
合計1.7万円(+定期昇給2千円を含めて国は1.9万円と説明)
ただし、法人側に裁量がある定期昇給を国が勝手に2千円上乗せして、1.9万円と表現している点は、現場から強い違和感が出ています。
処遇改善加算は本体報酬に戻すべき
今回の期中改定は、介護業界の人材流出を止めるための緊急措置となります。
平成21年の交付金から開始された処遇改善加算。国の実績ベースでは累計96,000円の賃金改善が実施されており、今回分を含めると11万円を超す形となります。しかし、処遇改善加算に依存し続ける構造そのものが既に限界に来ており、事業者の事務負担や給与設計の難しさは依然として課題として残っております。
令和6年度介護報酬改定において1本化された処遇改善加算ですが、今回の臨時改定により多重構造の加算となり、再び複雑差が増す形となりました。事業者からすれば加算ではなく、本体報酬に戻してもらいたいのが本音でしょうね。
次回のコラムでは、「処遇改善加算の『新しい姿』──加算Ⅰ〜Ⅳの構造と上乗せの仕組みを理解する」について解説します。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
最新の介護業界情報を知りたい方はwellsメルマガへご登録ください
メルマガ登録はコチラ