介護処遇改善加算コラム

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介護人材確保・職場環境改善等事業(令和6年度補正予算)について

新聞や一部の報道で介護職員に一時金5.4万円と公表されていた、令和6年度補正予算の介護人材確保・職場環境改善等事業。令和7年度の処遇改善加算の計画書と一体化されていたため、提出期限が4/15に設定されていた都道府県も多かったと思います。提出期限は過ぎておりますが、改めて介護人材確保・職場環境改善等事業(令和6年度補正予算)についてお伝えしたいと思います。

介護人材確保・職場環境改善等に向けた総合対策

今回の補正予算の目的は、介護人材確保ということで、他産業への流出を防ぐために全産業平均の給与と差がつく中、緊急的に賃金の引き上げが必要ということで決定したものとなっております。また、賃上げだけではなく介護現場の生産性を向上し職員の離職の防止・職場定着を推進することも必要とされました。更に令和6年度介護報酬改定で大きなダメージを受けた訪問介護の支援が必要ということで、以下の3つの施策が用意されました。

  1. 介護人材確保・職場環境改善等事業(806億円)
  2. 介護テクノロジー導入・協働化等支援事業(200億円)
  3. 訪問介護等サービス提供体制確保支援事業(90億円)

介護人材確保・職場環境改善等事業のポイント

今回の介護人材確保・職場環境改善等事業(令和6年度補正予算補助金)は介護人材確保を目的としており、国からすれば事業者さんに取得をして欲しい補助金となっております。申請をするための要件としては、処遇改善加算を取得していることと、職場環境改善に向けた取組(①現場課題の見える化 ②業務内容の明確化と役割分 ③業務改善活動の体制構築)を計画又は既に実施していることが要件となっております。文字だけで見ると職番環境改善に向けた取組は少しハードルが高そうな気がしますが、実際は多くの事業者さんで既に取り組まれている内容になると思いますのでそこは安心して補助金を取って頂ければと思います。

補助金額は補正予算成立後の令和6年12月の総報酬が基本とされておりますが、感染症による売上減少や年末年始の営業日数減などもあるため、令和6年12月~令和7年3月までの4ヶ月で事業所ごとに選択が可能となっております。総報酬額が多い方が多く補助金をもらえる形となっております。
補助金の使い方は大きく分けると①人件費と②職場環境改善経費の2つとなります。

  1. 人件費(一時金)については、目的では賃金の引上げとなっておりますが、通知を見ると厚生労働省賃金は賃上げに使う事はダメとは書いていませんが、1回のみの補助金であるため、基本的には一時金に充てられることを想定していると書かれております。
  2. 職場環境改善経費(研修費、介護助手募集費用、コンサル費用、会議費等)については、介護助手の募集費用以外にコンサル費用や研修費、会議等に使っても良いとなっておりますが、テクノロジー等の機器購入は行ってはいけないとなっております。

いずれも実績報告書提出までに支払いを終えておく必要があり、個人的な意見とはなりますが、セミナー等では、職場環境改善経費は使える内容がかなり限定的となるので、一時金対応をしてしまうほうが無難となりますとお伝えをさせて頂いております。

補助金の取得メリット

今回の人材確保・職場環境改善等事業を取得するメリットは2つ。1つは補助金を受け取ることができること。2つ目は処遇改善加算の職場環境要件の適用が免除になることです。事業者さんからすると補助金を受け取れるだけではなく、処遇改善加算の職場環境要件が免除されることは大きなメリットとなりますね。

実績報告書の提出期限について

最後に実績報告書の提出期限と補助金の入金時期についてですが、こちらは都道府県が管轄となるため、都道府県ごとに異なります。詳しくは事業者が所在している都道府県のホームページをご確認下さい!!

この記事の執筆者

佐藤 慎也
介護経営コンサルタント

◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。 介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。 介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

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