介護制度改正・
介護報酬改定コラム

更新日:

介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等に関する制度について

介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等に関する制度

令和6年4月より介護サービス事業者の経営情報の収集及びデータベースの整備をし、収集した情報を国民に分かりやすくなるよう属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表する制度(介護保険法第115条の44の2の規定に基づく介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等に関する制度)が新しく創設されました。

こちらについては令和5年度介護保険法改正として令和5年5月12日に成立し、令和5年5月19日に公布、施行期日が令和6年4月1日となっておりました。報告期限は本来であれば毎会計年度終了後3月以内となっておりますが、令和6年度は初回ということもあり年度内に提出で可となっております。事業者さんとしても令和6年度介護報酬改定の対応に追われている中ということもあり、あまり気にしていなかったかもしれませんが、8月2日の介護保険最新情報Vol.1297で留意事項が、8月20日のVol.1305でQ&Aが発出され気になる方も増えたと思います。

制度趣旨やポイント

令和6年度介護報酬改定においては、令和5年度介護事業経営実態調査結果(各介護サービスにおける収支差率)が大きく影響しました。この調査結果で収支差率7.8%という数字が出た訪問介護が大きく引き下げられたことについては記憶に新しいところだと思います。もともと介護事業経営実態調査は任意アンケート方式で回答率は50%程度となっており、介護経営の実態を正確に反映できているかについては疑問視されておりました。昨今の物価高の影響やコロナ感染症などの影響なども踏まえて、サービス種別ごとの実態を詳らかにする趣旨でこの制度は創設されました。この制度がもっと早くに創設されていれば今回のような訪問介護事業における報酬の引き下げはもしかしたら防げていたかもしれません。

介護事業経営実態調査が任意アンケート方式で回答率50%程度という背景もあり、本制度においては原則として全ての介護サービス事業者が報告をする必要があります。
例外として売上が100万円以下の事業者と災害などで報告を行うことが困難と認められる正当な理由がある場合は免除されます。

報告内容においては①事業所・施設の基本情報、②収益、費用(給与費、業務委託費、減価償却費、水光熱費、その他費用)③職種別の職員数となっております。これを事業所・施設単位で報告をしてくださいとなっておりますが、事業所・施設単位での報告は難しいけれども、法人内のサービス種別ごとの報告が可能である場合は、サービス種別ごとに報告することは可能となっております。

報告にあたってはGビズID(GビズIDプライム)のアカウント取得が必要となりますが、こちらについては令和6年秋頃に報告システムにおける操作方法のマニュアル・動画の公表をする予定となっておりますのでそちらに従い取得をしていただければと思います。

それを経て令和7年1月から令和6年度分報告の開始がされ、令和7年3月31日までに報告を終わらせる必要があります。また、3月末決算の法人は今年度分(令和7年度分報告)を令和7年6月末までに報告する必要がありますのでご注意ください。

この記事の執筆者

佐藤 慎也
介護経営コンサルタント

◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。 介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。 介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

執筆者

最新の介護業界情報を知りたい方はwellsメルマガへご登録ください

メルマガ登録はコチラ