介護制度改正・
介護報酬改定コラム
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令和6年度介護報酬改定のポイント③
大規模化の推奨を促進
1月22日に厚労省から令和6年度介護報酬改定における改定事項の資料が公表されました。今回は公表された資料や今までの審議会の内容を基に筆者が思う今回の改定ポイントを何回かにわけて紹介したいと思います。
財務省による介護事業者の大規模化の狙いとは
以前から財務省は、限られた介護人材のリソースを有効に活用し、生産性を上げていくために経営の協働化や大規模化は重要な取組であり、協働化・大規模化により、人材育成を通じた離職率の低下、一括仕入れによるコスト削減、利用者のニーズへの対応強化といった成果も出ているので積極的にやっていくべきと厚生労働省に圧を掛けていました。そうした背景もあって社会福祉連携推進法人制度などが成立し、実施されていたりもします。勿論、大規模化すれば経営効率が良くなるので収支などが改善しやすくなります。これは事業者さんにとっても喜ばしいことです。ただし、財務省の狙いとしては大規模化の事業者が多数出てきて収支を上げることができれば、それを理由に報酬の一定引き下げを提言できますし、結果として社会保障費の抑制につなげることができます。
ポイント③大規模化の推奨を促進
前述したような背景はあるものの、現実的には協働化や大規模化はなかなか思うようには進みません。しかし、今回の令和6年度介護報酬改定においては、居宅介護支援事業所と通所リハについては明らかに大規模事業者が有利(収益が出しやすい)となるような改定の内容になっております。
居宅介護支援事業所の大規模化の促進内容
居宅介護支援事業所はご存じのように特定事業所加算を取得出来るどうかで、収支差率に大きな差がでます。また、特定事業所加算の上位区分を取得出来ている事業者ほど、収支が良い状況になっております。今回の改定では特定事業所加算は一律14単位の引き上げとなっており、これは基本報酬の引き上げ単位よりも高い数字となっております。特定事業所加算の上位区分を取得しようとすれば主任ケアマネや常勤のケアマネを複数抱えていなければなりません。他にも今回ターミナルケアマネジメント加算の見直しに伴い、特定事業所医療介護連携加算の算定回数の要件を5回から15回へ引き上げされましたが、多くのケアマネを抱えていれば15回の対応は可能でしょうが、少人数であれば1年間で15回の対応をすることは難しいと言わざるを得ません。このように大規模化することで加算の取得が容易になる形となっており、1人でケアマネをやっている事業所からすれば何とも羨ましい話となっております。
通所リハの大規模化の促進内容
今回の令和6年度介護報酬改定の中でもインパクトの大きい内容の一つであった、通所リハの事業所規模別基本報酬の見直し。現行では通常規模型、大規模型(Ⅰ)、大規模型(Ⅱ)の3段階になっており、規模が大きくなるほど基本報酬が引下げられている形となっておりまし。これを今回、通常規模型、大規模型の2段階へとし、大規模型事業所のうち、一定の要件を満たす事業所については、通常規模型と同じ報酬を貰えることになりました。現行の大規模型(Ⅱ)の事業所であれば3.52%~7.09%の幅で単位が増加する話となります。もちろん、今回このような評価の見直しをした背景には大規模事業所だからと言って効率的に運営出来ているわけではなく、きちんと人員を揃える必要があり人件費がかかっているという主張が通った側面もありますが、やはり大規模化することで経営効率が上がる側面は否めないです。
このように国は大規模化を推奨してきている事について事業者さんは理解をし、対応をしていく必要が求められております。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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