介護制度改正・
介護報酬改定コラム
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令和6年度介護報酬改定のポイント②
介護現場の生産性向上を推進
1月22日に厚労省から令和6年度介護報酬改定における改定事項の資料が公表されました。今回は公表された資料や今までの審議会の内容を基に筆者が思う今回の改定ポイントを何回かにわけて紹介したいと思います。
ポイント② 介護現場の生産性向上を推進
今回の令和6年度介護報酬改定において基本的な視点の三番目に『良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり』をあげております。令和3年度介護報酬改定では『介護人材の確保・介護現場の革新』となっておりましたがより具体的な表現へと変えてきております。元来からの介護人材不足に加えて、生産人口の減少が加速するなかで介護需要は増加していくため、介護人材の確保を行いつつ、介護現場では介護サービスの質の向上やテクノロジー機器を活用した効率的な介護サービスの提供を行っていくことが求められています。
生産性向上の推進体制の強化のため委員会の設置を義務付け
国は介護ロボット・ICT等の機器の導入やいわゆる介護助手の活用による業務の明確化・役割分担等を促し、それらを効果的に機能させるためには、現場での課題を抽出・分析の上、どのような対応が必要か検討し、利用者の尊厳や安全性を確保しながら施設・事業所全体で継続的に業務改善に取り組む環境を整備することが重要であるとして、今回、施設サービス、短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービスに対して、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置を義務付けられました。
こちらは経過措置3年間となっているため令和9年3月31日までに委員会の設置をする必要があります。
尚、令和5年11月の社会保障審議会の段階で既存の委員会との共催や複数事業所間の共同開催を認めることとしてはどうかとの案が入っておりますので委員会の開催については既存の委員会と一緒に開催をしても問題なさそうです。
生産性向上推進体制加算
今回の改定の目玉の1つである生産性向上推進体制加算。見守り機器等を一つ以上導入し、一定の要件をクリアすれば生産性向上推進体制加算(Ⅱ)10単位/月が取得できます。
【算定要件】
- 利用者の安全並びに介護サービス質確保及職員負担軽減資する方策を検討ため委会開催や必要な対策を講じた上で、生産性向ガイドランに基づいた改善活動を継続的に行っていること。
- 見守り機器等のテクノロジーを一つ以上導入していること。
- 1年以内ごとに1回、業務改善の取組よる効果を示すデータ提供行うこと。
生産性向上推進体制加算(Ⅰ)100単位/月は(Ⅱ)を満たしたうえでインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器、介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器(複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る。)という複数機器の導入や職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手活用等)取組を行うことが要件となっております。
いままで国は機器の導入に助成金などを出しておりましたが、これからはテクノロジー機器を活用して介護現場の生産性向上を推進していく事業者を継続的に評価するということでこのような加算を新設致しました。言い換えれば国は介護現場の生産性向上を行っていく上でテクノロジー機器の活用は必須であるからそこについてきてくれというメッセージを送っているともとれます。
事業者さんとしては当然、初期導入費用として大きな投資が必要となるケースがあるかと思いますが、採用定着コストや運営コストを勘案し、更に新設された加算を取得した場合にどれくらいの期間で投資コストを回収できるかを考えた上で取組を検討して頂ければと思います。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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