介護制度改正・
介護報酬改定コラム

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令和6年度介護報酬改定のポイント①
医療・介護の連携推進

令和6年1月22日に厚労省から令和6年度介護報酬改定における改定事項の資料が公表されました。今回は公表された資料や今までの審議会の内容を基に筆者が思う今回の改定ポイントを何回かにわけて紹介したいと思います。

ポイント① 医療・介護の連携推進

今回の令和6年度介護報酬改定は医療・介護・障害の同時改定であり、高齢者施設等と医療機関の連携強化項目が目白押し。平時からの業務連携は勿論のこと、在宅・施設・病院間における情報連携なども重要視されています。

1) 協力医療機関との連携体制の構築

特養や老健などで義務化(経過措置3年間)された協力医療機関との連携体制。この要件の中の一つに、入所者の病状の急変が生じた場合等において、当該施設の医師又は協力医療機関その他の医療機関の医師が診療を行い、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。という文面があります。こちらは入院の受入体制が必要となるため病院に限るという条件付きとなっております。

介護事業者さんからすれば病院との連携は些かハードルが高いですし、この文面だけを読むと自施設の為に常にベッドを空けておいてくださいという風にもとれます。この辺については今回、同時改定ということもあり診療報酬側で当該施設の協力医療機関となっている保険医療機関が施設入所者を受け入れた場合について、新たな評価を行う。という内容になっており、受け入れ側の病院にもきちんとメリットがある形となっておりますので事業者さんとしても安心材料の一つになるかと思います。

ただ、こちらの内容での懸念点は、自施設の近くに都合よく協力医療機関があるか?ということになります。実際に私のところにも近くに協力医療機関となってくれそうな病院がないのですがどうすれば良いでしょうか?などの相談が寄せられております。

その際、私が質問者の立場であればこのようにするだろうなということで回答させていただいている内容は市町村の介護保険課の窓口にいって相談します。です。どの医療機関と組んだら良いの?そこを紹介してくださいと。伝手がないなかでも、さすがに市町村からの口添えがあれば無下にはされないだろうという考えです。特に地域が限定されていれば組むところは限られますのでね。市町村に相談した上で対応されなかったらそれを議事録に残した上で、義務化されているけど、対応してくれるところがないのを市町村も知る事実となりますので運営基準違反とはなりますが特例扱いをしてくれる可能性も残ります。

行政としても一定このように連携できない施設に対する救済を考える必要があるため、行政に相談をしておくことは非常に重要だったりします。

2) 協力医療機関連携加算

新設された協力医療機関連携加算は100単位/月と加配単位が大きく、これを取得できるかどうかは収支に大きく影響を及ぼします。入所者等の現病歴等の情報共有を行う会議を定期的に開催することを評価するとなっており、医療法人、特に母体が病院で介護施設を運営していれば取得のハードルはそこまで高くありませんが、介護事業のみで運営している所は協力いただける医療機関の有無で大きく差がつくお話となります。

3) 入院時・退院時の情報連携を評価

今回は入院時、退院時の情報連携なども多数評価されています。老健の退所時情報提供加算(Ⅱ)、特養の退所時情報提供加算、特定施設、グループホームの退居時情報提供加算(いずれも新設)は医療機関へ退所する入所者の心身の状況、生活歴等を示す情報を提供した場合に算定できるものです。居宅介護支援の入院時情報連携加算などは連携を取る期間を現行は7日以内で加算が取れていたものを3日以内に短縮する代わりに単位を引き上げております。それだけ早く連携することを評価するということになっております。他にも訪問看護の初回加算を退院当日に訪問した際に現行よりも50単位高くする評価を行っています。

このように医療と介護の同時改定ということもあり、医療・介護の連携を非常に推し進める形となっておりますが穿った見方をすれば、国は地域包括ケアシステムを推し進めるなかで医療と介護の一体化をどんどん進めているという風にも捉えることができます。

この記事の執筆者

佐藤 慎也
介護経営コンサルタント

◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。 介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。 介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

執筆者

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