介護制度改正・
介護報酬改定コラム
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令和7年度補正予算 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援
“3区分”を読み解く-新たに対象拡大されたサービスと取得のポイント-
令和7年度補正予算では、介護従事者への賃上げ支援が大きく拡充されました。特に今回の特徴は、補助金が「3つの区分」に分かれ、事業所の取り組みに応じて支給額が変わる点です。また、これまで対象外だった訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援が新たに対象に加わったことも大きなポイントです。
本コラムでは、この“3区分”の仕組みと、新たに対象となったサービスの背景を整理します。
補助金は3つの区分で構成される
今回の補助金は、次の3つの区分で構成されています。
(1)幅広い賃上げ支援(1万円)
・ほぼ全事業所が取得可能
・処遇改善加算を取得していればOK(誓約でも可)
・訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援も対象に追加
(2)協働化・生産性向上に取り組む事業者への上乗せ(5千円)
・下記3要件のいずれかを満たすこと(誓約対応も可)
〇ケアプランデータ連携システム加入
〇生産性向上推進体制加算の取得
〇社会福祉連携推進法人への加入
・取得できるかどうかで、1人あたり月5,000円×6か月=30,000円の差が出る
(3)職場環境改善の取組(4千円)
・昨年の補助金(令和6年度補正予算)を取得していればほぼ満たす
・多くの事業所が取得可能

新たに対象となったサービス
今回、次のサービスが新たに補助金の対象に加わりました。
・訪問看護
・訪問リハビリ
・居宅介護支援
・介護予防支援
これらのサービスは、これまで補助金の対象外であったため、今回の追加は大きな転換点です。背景としては、訪問系サービスの人材不足が深刻化。ケアマネの処遇改善が遅れており、介護職員との給与差逆転現象が起きていた。地域包括ケアの中核を担う職種として支援が必要。こうした理由から、対象拡大が行われました。
新規対象サービスが取得しやすい要件
訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援が補助金を取得するための要件は次の3つのいずれかです。
〇ケアプランデータ連携システムに加入
〇社会福祉連携推進法人に加入
〇処遇改善加算Ⅳの「ア〜ウ」の要件を満たす
このうち、最も取り組みやすいのは「処遇改善加算Ⅳのア〜ウの要件を満たす」という方法です。多くの事業所ではすでに就業規則や賃金体系が整備されているため、確認すれば要件を満たしているケースがほとんどです。
既存サービスの取得ポイント
既存の介護サービス(訪問介護・通所介護・施設系など)では、次の点が重要です。
●1万円(基本分)
・処遇改善加算を取得していればOK
・未取得でも誓約で可
● 4千円(職場環境改善)
・昨年の補助金を取得していれば満たす
・多くの事業所が対象
● 5千円(上乗せ分)
・ケアプランデータ連携
・生産性向上推進体制加算
・社会福祉連携推進法人
のいずれかが必要
特に5千円の上乗せは、令和8年度の処遇改善加算にも同じ区分が使われるため、今年の対応が来年度の報酬にも影響します。

ケアプランデータ連携システムは無料期間が延長
ケアプランデータ連携システムは、2025年6月〜2026年5月まで無料キャンペーンが実施されていましたが、令和8年度予算でも継続される見込みです。
居宅サービス事業所にとっては、「無料のうちに加入しておく」という選択肢が現実的になっています。
令和7年度補正予算の“3区分”は、事業所の取り組みによって支給額が大きく変わる仕組みです。特に、訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援が新たに対象となったことで、これまで補助金の恩恵を受けにくかった事業所にもチャンスが広がりました。
次回のコラムでは、「補助金の実際の申請手順と、都道府県ごとの受付スケジュールの注意点」について整理します。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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