介護制度改正・
介護報酬改定コラム
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2040年に向けたサービス提供体制のあり方に関するとりまとめ
厚生労働省は令和7年1月9日から、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」に関する議論を行い、同年7月25日に内容をとりまとめました。日本は急速な高齢化と人口減少が進行し、地域ごとのニーズが大きく変化しています。この報告では、こうした課題に対応するためのサービス提供体制の整備が提案されています。
基本的な考え方
基本的な考え方として以下の4点を掲げております。
- 「地域包括ケアシステム」を2040年に向け深化
- 地域軸・時間軸を踏まえたサービス提供体制確保
- 人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営支援
- 地域の共通課題と地方創生
全国を3つの地域に分類
②の地域軸・時間軸を踏まえたサービス提供体制確保とは、全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」と主に3つの地域に分類して、テクノロジー等も活用し、その地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制を構築していくことです。
これによって、次期改定(第10期)は3つの地域に分けて事業所・施設の運営基準や報酬などを決めていく形となります。
大まかな対応の方向性は以下の通りとなります。
- 「中山間・人口減少地域」:サービスを維持・確保するための柔軟な対応
- 「大都市部」:需要急増を踏まえたサービス基盤整備のための適切な対応
- 「一般市等」:サービスを過不足なく確保するための適切な対応
中山間・人口減少地域においては、人員配置基準の弾力化(緩和)やサービス提供時間よりも移動時間が長い事を考慮した、訪問系サービスにおける包括的な評価の仕組み、訪問・通所などサービス間の人員等の連携や柔軟化を行い、サービスを維持・確保していく形となります。
福祉サービス共通課題への対応(分野を超えた連携促進)
さらに、2040年に向けては、分野を超えた連携促進として、介護、障害福祉、保育サービス間での社会福祉連携推進法人の活用を促進するための要件緩和、既存施設の有効活用、情報共有プラットフォームの構築や、地域住民が共通して活用できる包括的支援拠点の設置が検討されています。
具体的な制度や報酬等については、今回のとりまとめた内容を社会保障審議会介護保険部会や社会保障審議会介護給付費分科会、社会保障審議会福祉部会などに報告をし、そこで議論を行っていくことになります。本報告は、介護報酬改定に向けた重要な指針となるだけでなく、日本全体で地域共生社会の実現に向けた大きな内容となっています
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

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