介護経営コラム
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外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会で訪問介護への従事を解禁
外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 中間まとめを公表
令和6年6月26日(水)厚生労働省の社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室が外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 中間まとめを公表致しました。深刻な介護人材不足が見込まれるなかで令和6年3月には特定技能の受入れ見込数(令和6年度から5年間)を 13.5 万人とすることが閣議決定されており、そんな中で今までの外国人介護人材の働き方に制限がかかっていた内容に見直しをかけた形になります。
訪問介護への従事を解禁
検討会は令和5年7月から開始され、令和6年6月までに7回開催されましたが、早い段階からテーマの中心となっていたのが訪問介護への従事を解禁するか否かでした。
訪問介護では利用者さんと介護者が1対1で業務を行うことが基本であり、適切な指導体制の確保、権利保護 、在留管理の観点に十分配慮する必要があることから、 技能実習等に おける従事は認められておりませんでした。一方でEPA介護福祉士については一定の要件を満たせば従事は認められていましたし、在留資格「介護」で就労する介護福祉士についても訪問介護への従事は認められておりました。EPA介護福祉士の従事において重大なハラスメント事案等がなく円滑に業務が実施されている実績なども鑑みて、今回、訪問介護員等の人材不足や高齢化が進んでいる中で必要なサービスを将来にわたって提供できるように対応していくため、ケアの質の担保や権利保護には留意しつつ、 本人の希望等も踏まえながら、外国人介護人材の訪問介護への従事を解禁する運びとなりました。
もちろん無条件で解禁というわけにはいかず、いくつかの要件を満たす必要があります。1つめは訪問介護においては、日本人においても従事する際の条件として介護職員初任者研修を修了した有資格者以上であるというきまりがあるため、外国人介護人材も同様の運びとなります。また、事業者に対しては以下の5要件を満たすことが求められております。
外国人介護人材が訪問介護に従事する際に事業者が満たすべき5要件
- 研修について、訪問介護の基本事項、生活支援技術、利用者・家族・近隣とのコミュニケーション(傾聴、受容、共感などコミュニケーションスキルを含む)、日本の生活様式などを含むものとすること。
- サービスの提供を1人で適切に行えるよう、一定期間、サービス提供責任者が同行するなど必要なOJTを行う。その回数や期間については、利用者や外国人の個々状況により、事業者が適切に判断すること。
- 業務内容や注意事項等について丁寧に説明を行い、その意向等を確認しつつ、外国人介護人材のキャリアパスの構築に向けたキャリアアップ計画を作成すること。
- ハラスメント対策の観点から、受入事業所内において、
- ハラスメントを未然に防止するための対応マニュアルの作成・共有、管理者等の役割の明確化
- 発生したハラスメントの対処方法等のルールの作成・共有などの取組や環境の整備
- 相談窓口の設置やその周知等の相談しやすい職場環境づくり
- 利用者・家族等に対する周知等の必要な措置を講ずること。
- 介護ソフトやタブレット端末の活用による記録業務の支援、コミュニケーションアプリの導入や日常生活や介護現場での困りごと等が相談できるような体制整備など、 ICT の活用等も含めた環境整備を行うこと。
尚、訪問介護への従事解禁は早ければ25年度から施行される見通しとなります。訪問介護事業において外国人介護人材の活用を考える事業者さんは早めに体制の準備を整えておく必要がありそうです。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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