介護経営コラム
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24年度介護報酬改定
介護ロボットやICT等のテクノロジーの活用促進として新たに加算創設
介護現場における介護ロボット導入概況
令和5年2月27日(月)に厚生労働省で開催された第26回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会にて(5)介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業(結果概要)(案)が示されました。
介護ロボットの導入概況
- 「見守り支援機器」の「入所・泊まり・居住系」における「導入済み」の回答割合は 30.0%
- 「入浴支援機器」の「入所・泊まり・居住系」における「導入済み」の回答割合は 11.1%
- 「介護業務支援機器」の「入所・泊まり・居住系」における「導入済み」の回答割合は 10.2%
- 「移乗支援機器」の「入所・泊まり・居住系」における「導入済み」の回答割合は 9.7%
調査表明 | 縦置き浴槽タイプ KGST series | 横置き浴槽タイプ KGS series | 多機能コア KGSB series |
---|---|---|---|
①訪問系 | 3,775 | 1,346 | 35.7% |
②通所系 | 2,600 | 922 | 35.6% |
③入所・泊まり・居住系 | 9.736※ | 2,958 | 30.4% |
合計 | 16,111※ | 5,226 | 32.4% |
結果を見ると、見守り支援機器については緩やかですが導入が進んでいる印象を受ける一方で、移乗支援機器や入浴支援機器についてはまだまだ導入されていない事業者さんが多いことがわかります。勿論、介護ロボットというテクノロジー機器の分野になり、天井走行リフトや支柱式リフト、床走行式リフトなどはカウントされておりませんので、介助負担を軽減する機器を導入されている事業者さんはもっと多いことだと思います。
介護ロボットをいずれも導入していない理由としては、③「入所・泊まり・居住系」では、導入費用が高額であるという理由が64%を占める形となっております。
現状、介護ロボット、テクノロジー機器に関わらず、介護現場で必要とされる機器は高額であり、贅沢品という位置づけになっているかと思いますが、人ひとり辞めてしまった場合にかかる損失コストという観点で考えれば、機器は高額ではあるが必需品であるという考え方もできると思います。
24年度改定で新加算創設
2024年度介護報酬改定の大項目の3番目には『良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり』という目標が掲げられており、介護ロボットやICT等のテクノロジーの活用促進として新たに加算が設けられました。
加算要件としては、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入し、生産性向上ガイドラインの内容に基づいた業務改善を継続的に行うとともに、一定期間ごとに、業務改善の取組による効果を示すデータの提供を行うことを評価する。とされております。
センサーなどの見守り機器やインカム等のICT機器、介護記録の作成の効率化に資するICT機器などの導入が対象となっており、残念ながら今回の要件では介助者の身体負担を軽減する入浴支援機器・移乗支援機器などについての機器は対象となっておりませんが、こちらも加算対象の要件とすることで導入する事業者さんの後押しになるのではないかと思いますので気が早いですが2027年度の改定では対象項目に加わることを期待したいです。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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