介護経営コラム
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厚労省
第14次労働災害防止計画においてノーリフトケアを導入している事業場の割合増加を明記
第14次労働災害防止計画について
令和5年2月13日(月)労働政策審議会が加藤厚生労働大臣に対し「第14次労働災害防止計画」について答申を行いました。
その中で労働者(中高年齢の女性を中心に)の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進として介護職員の身体の負担軽減のための介護技術(ノーリフトケア)や介護機器等の導入など既に一定程度の効果が得られている腰痛の予防対策の普及を図ることが明記されました。
第14次労働災害防止計画は、2023年度を初年度とする5年間を対象としたもので、厚生労働省では、この答申を踏まえて計画を策定し、 目標の達成に向けた取組みを進めることになります。
介護現場における2つの指標
介護現場等における具体的な指標としては以下の2点を掲げております。
- 介護・看護作業において、ノーリフトケアを導入している事業場の割合を2023年と比較して2027 年までに増加させる。
- 増加が見込まれる社会福祉施設における腰痛の死傷年千人率を2022 年と比較して2027 年までに減少させる。
※H29年~R4年の6年間で腰痛労災件数は1.5倍以上となっております。
さらに国としては『中小事業者の安全衛生対策に取り組む意欲を喚起する一助として、安全衛生対策に取り組むことによる経営や人材確保・育成の観点からの実利的なメリットや安全衛生対策に取り組まないことにより生じ得る損失について、研究を進め、その成果を広く周知する。この際、できるだけ中小事業者の身近な例を研究対象とし、より納得しやすい事例が提供できるよう工夫する。』ことや『事業者が安全衛生対策に取り組まないことにより生じ得る損失等の他、事業者の自発的な取組を引き出すための行動経済学的アプローチ(ナッジ等)などについて研究を進め、その成果を広く周知する。』ことを明記しております。
これからの介護経営における欠かせない取組
ご存じのように介護業界においては人材確保が喫緊の課題となっております。労働災害などにより休職が発生すると現場の負担は増大します。まして、休職から職場に復帰できずに人が辞めてしまうと大打撃となります。このような場合、私の試算になりますが人が一人休職してしまいその間の人員を派遣などでやり繰り、そして結局復帰できないため、新たな雇用をする必要がでてくるため、ざっくりですが100万円程度必要となります。
上記で書かれている『安全衛生対策に取り組まないことにより生じ得る損失』、いわゆる損失コストを考えれば働く労働環境を整えることは必須事項といえます。
現場で働く職員さんが長く、元気に、健康で働くためにも介護ロボットや福祉用具機器を活用した抱え上げない介護を実践していく事は、これからの介護経営においては欠かせない取組になりますね。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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