介護業界関連コラム
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介護ロボットの重点分野を拡大。新たな名称は「介護テクノロジー利用の重点分野」
「ロボット技術の介護利用における重点分野」改め「介護テクノロジー利用の重点分野」へ
令和6年6月28日に厚生労働省よりロボット技術の介護利用における重点分野の改訂についてというタイトルでプレスリリースが発表されました。
令和7年度より昨今のICT ・ IoT 技術を用いたデータ利活用が進む状況や、介護現場に おける新たな社会課題を踏まえつつ、革新的な機器の開発促進・普及を目指すため 「 ロボット技術の介護利用における重点分野」の改訂を行うとともに、名称を「介護テクノロジー 利用の重点分野」に変更しますとのこと。
ロボット介護機器の開発の動向としては、当初は、移乗支援・移動支援機器等のメカ系の開発が多く見られましたが、近年はデジタル技術の進展に伴い、スマートフォンやタブレットなどのデバイスと連携させたICT機器の開発が活況となっていますのでこの流れは納得です。最近は介護の展示会などに行ってもセンサー分野の占める割合が年々大きくなっている印象を受けます。
重点分野に3分野追加 6分野13項目から9分野16項目へ
今回は既存の分野・項目の定義文について必要な見直しを行うとともに、新たに(1)機能訓練支援(2)食事・栄養管理支援(3)認知症生活支援・認知症ケア支援の3分野が追加されることになりました。令和6年度介護報酬改定においても機能訓練、栄養、口腔の三位一体による相乗効果を考え、栄養、口腔の一体取組で加算項目が創設されていたことを考えると介護テクノロジー分野においても(1)機能訓練支援(2)食事・栄養管理支援を追加することは非常に合理的ですし、取組がより推進していくと予想されます。(1)機能訓練支援(2)食事・栄養管理支援はLIFEを考えれば今後益々需要の増す部分で、ここが介護テクノロジー導入支援事業などの補助金が使えるようになると事業者さんとしては非常にありがたい話だったりします。実際、デイサービスや通リハの事業者さんからすれば見守りセンサーはそこまで必要ないけど、機能訓練支援は非常に重要ですし、ここの機器を購入する際に補助金が使えたらメリットが高いです。
(3)認知症生活支援・認知症ケア支援はどのサービス種別にも有効ですが、特にグループホームにとっては非常に良いお話だと思えます。令和6年度介護報酬改定において創設された生産性向上推進体制加算ですが、実際にグループホームを運営している事業者さんからすると加算(Ⅰ)の要件を満たす機器を導入するのはオーバースペックという見解を示す方も少なくありません。生産性向上推進体制加算はやはり特養や老健、特定施設でこそ効果が高いとみるべきです。
そういう意味では今回の重点分野の改訂は次期介護報酬改定の際に介護報酬や人員・設備基準の見直し等の制度上の対応を行うとされておりますので、今後も注目していく必要があります。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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