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介護業界における新たなクラウドシステム「介護情報基盤」とは

厚生労働省は7月22日発出の介護保険最新情報vol.1405にて、介護情報基盤の今後のスケジュールなどについて通知を行いました。本コラムでは介護業界における新たなクラウドシステム「介護情報基盤」についてわかりやすく解説をしたいと思います。

介護現場の負担軽減と情報連携の迅速化・高度化を目指して

介護業界では、以前から利用者に関する介護情報等は、各介護事業所や自治体等に分散されており、情報のやり取りは基本的には紙ベースで行われています。紙でのやり取りでは、郵送、発行、入力などの手間が掛かっており、非常に非効率な業務となっております。介護情報基盤はこれまで紙を使ってアナログにやりとりしていた情報を電子で共有することで、業務の効率化(職員の負担軽減、情報共有の迅速化)を図ることを目的としています。

介護情報基盤とは

介護情報基盤は、利用者本人、市町村、介護事業所、医療機関といった関係者が利用者に関する情報(介護保険証や要介護認定、主治医意見書、ケアプランなど)をオンラインで迅速に閲覧・共有できるクラウドシステムとなります。今後、介護情報基盤に蓄積された情報を活用することにより、事業所間及び多職種間の連携の強化、本人の状態に合った適切なケアの提供など、介護サービスの質の向上を図ることも視野に入れられております。

介護情報基盤は「医療DXの推進に関する工程表」(令和5年6月2日医療DX推進本部決定)において、保健・医療・介護の情報を共有可能な「全国医療情報プラットフォーム」の構築に向けた取組の一部として、令和8年度から、自治体システムの標準化の取組の状況を踏まえ、全国実施をしていくとされておりました。

本格運用は令和10年4月1日から

介護保険最新情報vol.1405のなかで、今後のスケジュールについて記されており、令和8年4月1日以降、介護情報基盤との連携を含めた標準化対応が完了した市町村から、順次、介護保険システムから介護情報基盤へのデータ移行、介護情報基盤経由での情報共有を開始するとされており、令和10 年4月1日までに、全市町村において、介護保険システムから介護情報基盤へのデータ移行も含めて完了し、介護情報基盤の活用を開始することを目 指すとされています。

出典資料:250722介護保険最新情報vol.1405(厚生労働省)

厚生労働省が実施したアンケート調査結果では、、令和8年度までに移行予定の市町村は約66%、令和9年度までに移行予定の市町村は約97%、令和10年度以降に移行予定の市町村は約3%であり、人口規模が大きい自治体で移行予定時期が遅くなる傾向となっています。

事業所の皆さんは、自事業所の市町村の移行時期をしっかりと把握しておく必要があります。

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この記事の執筆者

佐藤 慎也
介護経営コンサルタント

◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。 介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。 介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

執筆者

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