介護処遇改善加算コラム

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令和8年度処遇改善加算Q&A 法定福利費の算出方法について

処遇改善加算の実務で、毎年必ず質問が出るテーマがあります。それが 「賃金改善額に法定福利費を含めてよいのか?」 という論点です。結論から言えば、法定福利費の“事業主負担分の増加分”は賃金改善額に含めてよいと明確に示されています。ただし、どこまで含めてよいのか、どう計算すればよいのか、現場では誤解が多く、結果として「本来控除できるはずの法定福利費まで職員に全額配分してしまう」というケースが後を絶ちません。

本コラムでは、Q&A(問1-7)の内容をもとに、法定福利費の範囲・考え方・計算方法 をわかりやすく整理します。

1.賃金改善額に含めてよい法定福利費の範囲

Q&Aでは次のように定義されています。

賃金改善額に含めてよいもの、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金、雇用保険料、労災保険料などにおける処遇改善加算による賃金改善に応じて増加した事業主負担分。さらに、法人事業税(外形標準課税)の付加価値額増加分も含めてよいとされています。

つまり、処遇改善加算で給与が上がった結果、事業所が追加で負担することになった部分はすべて対象ということです。

2.法定福利費の計算は『合理的な概算』でよい

Q&Aでは次のように明記されています。

「法定福利費等の計算に当たっては、合理的な方法に基づく概算によることができる。」

これは非常に重要なポイントです。
基本給・手当・賞与などの配分が複雑になると、「どの部分がどれだけ法定福利費に影響したか」を正確に算出するのは現実的ではありません。そのため、合理的な計算方法であれば概算でOKという柔軟な運用が認められています。

3.実務で使える『合理的な計算方法』の例

例えば、処遇改善加算で年間1,000万円を職員に配分したとします。法定福利費の事業主負担は概ね15~17%前後 です。

 計算例:1,000万円 × 15% = 150万円

この150万円が処遇改善加算による賃金改善に伴う法定福利費の増加分として扱えます。
つまり、1,000万円のうち150万円は事業所が負担する法定福利費として控除してよい
ということです。

まとめ

処遇改善加算は「職員の賃金改善のための財源」ですが、給与を上げれば当然、社会保険料、雇用保険料、労災保険料などの事業主負担も増えます。

これをすべて法人が負担すると、実質的に処遇改善加算の持ち出しが発生することになります。そのため、増加した法定福利費は処遇改善加算で賄ってよいというルールになっています。そして、計算は合理的な概算でOKという柔軟な運用が認められています。

処遇改善加算を正しく活用するためにも、法定福利費の扱いは毎年必ず確認しておくべき重要ポイントです。

次回のコラムでは、『令和8年度処遇改善加算Q&A 同意書を取るべき‼包括支援センターからの分配金』について解説します。

この記事の執筆者

佐藤 慎也
介護経営コンサルタント

◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。 介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。 介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

執筆者

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