介護制度改正・
介護報酬改定コラム
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ケアプランの有料化は住宅型有料老人ホームに新類型創設で決着?
介護保険制度の持続可能性確保や負担の公平化を理由に財務省から再三突き付けられていたケアプランの有料化について、2025年6月の骨太の方針においても2025年末までに結論が得られるよう検討すると記載されていました。その後、厚生労働省が12/15に提出した資料では、ケアプラン作成を含めて利用者負担の対象としている特定施設入居者生活介護等との均衡の観点から新たに登録制の対象となる住宅型有料老人ホームの入居者に係る新たな相談支援の類型に対して利用者負担を求めることについて、「本部会における意見も十分に踏まえた上で、丁寧に検討することとしてはどうか」と検討の方向性が示されました。その後、12/24の財務省との閣僚折衝においても、この方向性で合意がなされています。
財務省側の主張
25年11月に行われた財政制度等審議会 財政制度分科会で提出された資料には、介護保険制度創設から25年以上が経ち、現状では、ケアマネジメントに関するサービス利用が定着していることや、利用者が本来負担すべき費用を現役世代の保険料で肩代わりし続けることは、世代間の公平の観点からも不合理であること、介護施設においては、ケアプラン作成費用が基本サービスの一部として利用者負担が生じていることなどを理由に有料化を主張しました。
さらに、利用者負担を導入することで、利用者がケアプランにきちんと注目するようになり、質の向上にもつながると考えられるため、利用者負担の導入を進めるべきだとしています。
厚生労働省側の提案
25年12月に行われた社会保障審議会介護保険部会で提出された資料では、厚生労働省は下記3案を提示しました。
- 幅広い利用者に利用者負担を求めること
⇒財務省の主張を踏まえた案。ただし、利用料を気にして利用者の利用控えなどが懸念されるので所得状況を勘案することとしております。 - 事務に要する実費相当分に利用者負担を求めること
⇒給付管理に係る業務はケアマネである必要性がなく、請求事務の代替的な性格が強いため、その実費相当として利用者に求めてはどうかという案 - 住宅型有料老人ホームの入居者に対して利用者負担を求めること
⇒住宅型有料老人ホームは規制強化の対象として検討が進められており、登録制になることなども踏まえて、特定施設との均衡の観点からケアプランの有料化を求めてはどうかという案
有料老人ホームに新類型を創設
審議会で議論を進め、結果的に、最も批判が少なかった③案を軸とする方向で整理されました。今後審議会において丁寧に検討していくこととなりますが、現時点では下記2点を軸に今後、介護給付費分科会等で議論することが適当であるとされています。
- 入居者に係るケアプラン作成と生活相談のニーズに対応する新たな相談支援の類型を創設
- 報酬については、現行の特定施設入居者生活介護と同様、ケアプラン作成と生活相談を評価する定額報酬とすることを念頭
今まで在宅と分類されていた住宅型有料老人ホームを在宅とは別の類型とすることで、在宅と住宅型有料老人ホームのケアプランを担う居宅介護支援事業所からすれば、報酬形態が異なるわけですから混乱は必至です。特定事業所加算にも影響が及ぶようであれば、住宅型有料老人ホームのケアプラン担当は拒否するなどの流れも一部で出ることが懸念されます。
この結果次第では、「それならば、いっそのこと①の『幅広い利用者に利用者負担を求める』案の方が分かりやすかったのではないか」という声が上がる可能性も否定できません。いずれにせよ、新類型がどのような形になり、現在の居宅介護支援にどの程度影響を及ぼすのか、今後の議論を注視していくことが重要です。
この記事の執筆者
佐藤 慎也
介護経営コンサルタント
◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。
介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。
介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。
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