介護制度改正・
介護報酬改定コラム

更新日:

利用者2割負担拡大は4案提示も議論の持越しへ

介護保険制度の持続可能性確保や負担の公平化を理由に財務省から再三突き付けられていた利用者2割負担の拡大について、2025年6月の骨太の方針においても2025年末までに結論が得られるよう検討すると記載されていました。しかし12月24日に上野厚労相と片山財務相らの閣僚折衝が行われ「第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年度から)の前までに結論を得る」と合意され、持越しが決定致しました。

財務省側の主張

利用者負担の現行区分は3区分になっており、『現役並み所得』と言われる、単身340万円以上、2人以上463万円以上が3割負担となっており、次に『所得上位20%』と位置付けられる、単身280万円以上、2人以上346万円以上が2割負担となっており、それ以外の者が1割負担となっております。今回の議論は2割負担の拡大となりますので、単身280万円以上の金額をどこまで引き下げるかがポイントとなっていました。

25年11月に行われた財政制度等審議会 財政制度分科会で提出された資料には、現在の2割負担以上の割合が全体の8.1%であり、所得上位30%の高齢者世帯では、平均で1,000万円以上の貯蓄があることや、高齢者世帯の平均貯蓄額は増加傾向にあることなどを理由に応能負担を主張し、2割負担の対象者の範囲拡大を実現すべきとしました。
※応能負担とは、所得や資産の状況に応じて負担額を決める仕組み

厚生労働省側の提案

25年12月に行われた社会保障審議会介護保険部会で提出された資料では、厚生労働省は 230~260 万円までの幅で利用者負担を拡大する4案を提示しました。そのうえで負担の配慮措置として①増加上限月 7 千円の設定、②預貯金等が一定未満の者は申請により1 割負担に戻す案を提示しました。260万円にした場合の給付費削減効果は最大で90億円、230万円まで引き下げた場合の給付削減効果は最大 220 億円と試算がされております。

私は今回の2割負担拡大の焦点は、後期高齢者医療の2割負担が 200 万円以上であるため、そこに合わせる形になると思っていましたが、やや中途半端な印象の案が提示されたように感じます。

2026年度から医療保険制度の見直しが行われ、一定所得以上の人に負担増が見込まれることなども懸念されたため、もう少し調整を重ねたいとのことで、結論は持越しとなりました。事業者にとっては、2割負担の拡大により利用控えが生じる懸念もあります。結論についてはこの1年で出す形となりますので引き続き注視していく必要があります。

この記事の執筆者

佐藤 慎也
介護経営コンサルタント

◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。 介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。 介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

執筆者

最新の介護業界情報を知りたい方はwellsメルマガへご登録ください

メルマガ登録はコチラ