介護制度改正・
介護報酬改定コラム

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令和9年度から地域ごとの介護サービス基盤へ大転換について

2025年は「2040 年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方」検討会、介護保険制度の見直しに関する審議など、介護業界にまつわる実に様々な検討会、審議会が開催されました。

国は、介護保険制度創設以来続いてきた「全国一律のサービス基盤」という原則を見直し、令和9年度(2027年)からは地域の実情に応じた基盤整備へ大きく舵を切る決断をしました。

高齢化や人口減少のスピードには地域によって大きな差があり、地域ごとにサービス需要の変化が大きく異なる中、介護事業者は地域におけるサービス供給の状況を踏まえて2040年に向けた介護事業運営を築いていく必要があります。

中山間・人口減少地域における柔軟な対応

特に大きな転換が行われるのが、既にサービス需要のピークを過ぎており、生産人口が減少に入っている中山間・人口減少地域となります。国は以下の6つ対応を進めていきます。

  1. 特例介護サービスの枠組みの拡張
    ⇒人員基準などの緩和を行うために特例介護サービスに新たな類型を設ける
  2. 地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み
    ⇒例:サービス提供回数に応じた出来高報酬と別途、包括的な評価(月単位の定額払い)を選択可能
  3. 介護サービスを事業として実施する仕組み
    ⇒給付の仕組みに代えて、市町村が関与する事業(地域支援事業の一類型)により、給付と同様に介護保険財源を活用し、事業者がサービス提供を可能とする仕組みを設ける
  4. 介護事業者の連携強化
    ⇒複数事業所間の連携を促進し、業務効率化等の取組を推進する仕組みを設け、必要な支援を行う
  5. 既存施設の有効活用
    ⇒補助金などで建てられた施設は、本来10年以上経過しないと他の事業体への転換ができないが、これを一定の範囲内で国庫納付を求めない特例を拡充し、転換を認める
  6. 調整交付金の在り方
    ⇒年齢区分を3区分から7区分に変更する

①②④については今後、詳細の要件や報酬設定等について介護給付費分科会等で議論することとされております。

「大都市は2040〜45年までは柔軟化の対象にならないのではないか」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。需要のピークがあっても働く人がいないのであれば、何かしらの要件を付けて、柔軟化・弾力化はされることが想定できます。第10 期では、切羽詰まった状態である中山間・人口減少地域に柔軟化の枠組みが設置されますが、一般市・大都市の事業者も「自分たちには関係ない」と考えるのではなく、この大転換に備えた準備が求められます。

この記事の執筆者

佐藤 慎也
介護経営コンサルタント

◆プロフィール
組織の仕組みづくりや人材教育などを得意分野とし、介護保険法はもちろんサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどの制度に精通。 介護経営コンサルタントとして、今までに50法人以上のコンサルティング実績を持ち、自らも介護事業の運営に携わっていたため、経営者からスタッフまで、それぞれの立場にあった指導・提案をすることで圧倒的な支持を得ている。 介護業界の動向を解説したメルマガの発行やコラムの執筆を行いながら、全国各地にて経営者・管理者向けのセミナーやスタッフを対象にした研修まで幅広い分野で年間100本以上の講演を行う。

執筆者

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